中学生向けに高専入試について解説。卒業後の進路(編入学、就職)や学生生活についての記事を掲載。

推薦入試

推薦試験とは

 推薦試験とは,あるレベルに達している一部の優秀な学生を優先的に選抜する試験で,一般試験と区別されます。学力試験はほとんどの場合で課されません(口答試験はある場合もある)。推薦基準としては,学校長の推薦を要するもの,学校での評価が定められた基準値を超えることを必要とするもの,あるいはこれらを組み合わせたものがあります。
 推薦試験は基準そのものが甘い場合が多く,受験倍率が高くなり非常に難しい試験になります。したがって,推薦は受かったら儲けものくらいに考え,一般試験を確実に落とさないようにすべきでしょう。ただし,志願者数の減少で早めに生徒を確保するために,最近では推薦の枠を拡大していく高専が増えています。

成績により基準がある推薦試験

 中学校の成績による基準(足切り)がある推薦試験は,その基準を超えているからといって必ず受かるわけではありません。この基準は各学校によって異なりますが,一般に基準ギリギリでの合格は非常に難しいものであります。
 たとえば,木更津高専の推薦試験(参照ページ:PDF形式)では,推薦基準が平均で3.55※となっていますが,実際にはボーダーラインが4.5となっています。したがって,推薦基準を満たしていても受からない場合があります(むしろ受からない人のほうが多い)。木更津高専は,偏差値60~64程度のレベルであるのでこれと同程度のレベルの高専では,やはり推薦で合格するのには平均で少なくとも4以上,私の予想では通常4.5必要であると考えられます。
※ 中学校での絶対評価(1~5で評価した場合)

作文・面接は重視されるのか?

 受験生の方は,「作文・面接は重視されるのか?」と疑問を持たれたことがあるでしょう。学校ごとに異なる上,さまざまな因子が介入し非常に悩ましい質問であります。学校によって,推薦試験の採点方を明確にしているところもあれば,「総合的に判断する」とぼかしている高専もあります。明確にしている場合は受験前に点数計算を自分でやってみましょう。重視される場合と重視されないケースが考えられますが・・・

■ 重視されない場合
 この場合は,理由として面接・作文では判断が曖昧であるという事から重視しない場合が多いです。推薦試験といえども一学科で40人以上の受験生が受ける高専もあり,複数の先生,複数の面接室で試験を行わなければならない場合があります。ところが,このような場合では,試験官によって評価に"ばらつき"が生じてしまうので,不公平感を生じてしまいます。したがって,面接・作文を重視しない高専もあります。このようなケースでは,学校での成績が重視されますので,学校の成績が悪いとまず受かりません。

 ※ 木更津高専では面接・作文はあまり重視されません。(内申点{成績}が8割,面接・作文は残り2割なので,ほとんど内申点で決まるといってよい。先生に聞いて事実を確認しました)
■ 重視される場合
 現在,学校の成績は相対評価から絶対評価に変化し,学校によって成績の基準がばらばらである事は言うまでもありません。したがって,学校の成績で評価するのにも不公平感が生じています。このような側面から,成績よりも作文・面接の結果を重視するといった高専があります。

作文・面接の重要性の考察

 多くの方と話していると,高専に来る人はやはり目的意識が強くやりたいことがはっきりしている人が多いと言います(私からすればそうでもないと思うのですが,普通高校と比べるとそうなのでしょう)。したがって,受験生は展望が比較的はっきりしている人が多いので,将来やりたいことの質問等は差別化できにくいと聞きます。このような側面を考えると,私はやはり成績のほうが数値化しやすいので,中学校での成績が重視される傾向にあると思います。
 ですから,成績の平均が5に近い方は,面接・作文で大きなミスさえしなければ受かる可能性は高いでしょう。一方,成績基準ギリギリの方は,よほど試験官の琴線をふるわせる文章を書く,素晴らしい面接をする,あるいは非常に顕著な賞あるいは資格を持っていない限り合格は難しいでしょう。ただし,いくら成績が良いからといってなめすぎるのも良くありませんし,ギリギリだからといってあきらめるのは尚早です。

面接で何を聞かれるか(実際にあった質問から)

 普通の質問なら,本屋に売っている高校受験の本で対策できます(私があれこれ言うよりもよっぽど適切な解答例が書いてあるはずです)。一方,一般的でない奇抜な質問は普段からの努力によるので対策は非常に難しいです。
 たとえば,「科学雑誌は講読していますか? しているなら何ですか? その中で好きな記事は何ですか?」など。普段からの生活態度を問われます。このような質問では,試験前に対策を立てるのは無理です。あるいは,「将来研究・開発職に就きたいのですか? 就きたいなら大学院まで行かなければ厳しいですが,大学院まで行く気はありますか?」
 この質問も「大学院」は何かという,先の進路を見据えてないといけないわけです。当然,大学院,エンジニア(技術者),工学など基本的な用語は知ってないと質問の中に混じっていた場合,適切に答えることができません。


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