中学生向けに高専入試について解説。卒業後の進路(編入学、就職)や学生生活についての記事を掲載。

高い留年率・退学率

退学者数が多い

 退学者が多い学校では,30%以上が退学していく学校もあります。私のクラスの同級生は43人入学したうち,3人退学し,3人留年しました。統計データによると,全国の高専の定員に対する卒業者数は90%程度であります。それでは高専全体の退学者数は約10%であるのかと考えるのはいささか早計で,実際には高専4年次の編入生で欠員が補充されているので,この数字よりも数%~数十%大きい退学率となります。留年する者はさらに多く,クラスの半数以上が留年ということもあるようです。
 退学の原因としては,本人がその専門に適正がないと感じたという理由によることが多いのですが,学校のカリキュラム自体に問題がある場合もあります。また,学校や指導教員にもよりますが,学力不振の学生に学校に在籍されても迷惑であると考えているせいか,学力不振者とその両親に退学を強く促す教員もいます。

高専の教育が目指すもの

 近年,JABEEの導入や認証評価(外部リンク)によりカリキュラム上の制約はきつくなっています。主なものを箇条書きします。

■ 成績の赤点が50点から60点に引き上げ
■ 従来は出席については甘かったが,出席日数が2/3を超えないと自動的に単位は修得できくなった
■ 必修単位を1単位でも落としたら留年(従来は6単位まで落とせた高専も多い)
■ 出席などの名目によるなどによるいわゆるゲタ点の禁止(従来はテストを失敗しても単位を修得できたが,最近は定期テストの点数で90~100%評価されるようになった)

 これらの導入により,上位学生はテストが簡単になったというくらいの影響しか受けていない場合がほとんどですが,一方で中位・下位学生は一層留年の危機と隣り合わせとなるようになりました。さらに小中学校のゆとり教育でカリキュラムが削減されているにもかかわらず,高専でも現在のカリキュラムを維持しようという考えが強いため,高専で学ぶ範囲が広がって学力不振者の増加につながっています。

退学後の取り扱い


 舞鶴高専のホームページによると次のようにあります。

Q : 進路変更する学生は?また,1・2年生の退学者の有無とその進路は?
A : 3年生の退学者のほとんどは3学年を修了しており、高等学校卒業と同等の資格が得られるため、大学への進学を目指す者や、専修学校へ進路変更する者がいます。1・2年の退学者は、普通高校や単位制・通信制の高校へ転校する者もいます。

 これは3年次修了の時点で一般入試で大学を受験することが,制度上可能となっているということです。 ただし,高専のカリキュラムは大学入試用には一切組まれていないので非常に苦労することになります。退学した人は,高専をきちんと卒業した人に比べてまともな職に就くことは難しくなります。


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