中学生向けに高専入試について解説。卒業後の進路(編入学、就職)や学生生活についての記事を掲載。

高専教育の特徴

15歳という早い時期からの専門教育

通常,専門教育を受け始めるのは大学に入ってからなので18歳からです。一方,高専では,中学を卒業後すぐの15歳から専門教育を受けられます。早いうちからの専門教育は,記憶力・柔軟性が比較的高い時期に行うことができるので良い学習効果が期待できます。 したがって,工学系へ進もうとしている人にとって専門性でのアドバンテージになります。
 高専は,中学卒業後すぐに高等教育を受けられる唯一の教育機関です。高専生は早いうちから専門教育を受けているので,大学に編入しても優秀な成績を収める人が多いといわれます。また,工学的な「センス」は習得しやすく,専門に特化することができると思います。
 しかし,良くない点もいくつかあげられます。早いうちからの専門教育は,頭を固くしてしまったり,教養が足りなかったりするのではと危惧されます。社会に出ると,他人とのコミュニケーション時に教養も重要となってくると思います。確かに,高専では国語などの教養がおろそかになっていることもあると思うので,注意しなければなりません。
 さらに,15歳で工学への道を選択してしまったことに後悔する人も少なくありません。このため,高専の留年・退学者率は非常に多くなっています。全国平均では卒業までに10%程度学校を退学していき,多いクラスでは30%も退学してしまうというところも存在します。

実験・実習が多い

 実験・実習が多いことは非常に良いことです。「百聞は一見に如(し)かず」という慣用表現がありますがまさにこのとおりです。頭で考えるより,「目で見て,手を動かす」の方が効率的です。高専では,実験・実習などの体験型の学習が多く取りいれられています。実験・実習で体験してから,理論を学ぶことにより理解が容易にできるのです。
 さらに,実験・実習後に必ずレポートが課せられるので,苦労を強いられますが,文書の作成能力は向上します。

高い求人倍率

 高専からの就職率はほぼ100%です。高専は産業界から支持が厚く,いわゆる大企業からの求人も数多くあります。求人倍率(学生1人あたりに対する求人社数)が10倍を超えることも珍しくなく,現在問題となっている少子化と団塊世代の大量引退により,昨今は30倍を超えたところもあるようです。また,就職は学校がきちんと斡旋(あっせん)してくれるので安心です。

高専は隠れた進学校

 高専からは大学へ進学できる制度があります。高専卒業後に大学へ「編入」することが可能です。高専で5年間修学すれば,大学の学年に換算すると2年時修了と同等です。したがって編入では,高専卒業後に大学の3年生になることができます。編入では,東大,京大,阪大,北海道大,東北大,九州大,東工大などをはじめとする主として国立の大学に進学することが可能です。これら試験は,高校から大学受験する際の試験より難易度が低いといわれます (もちろん例外もありますが・・・)。さらに,試験日程が各学校異なるので,複数校受験することができます(一般の国立大の学部入試では2校しか受験できない)。
 あまり知られていませんが,編入は大学入試の「穴場」だったのです。


↑ PAGE TOP